つくしんぼ通信令和6年4月号

サプリメントの安全性について考える

小林製薬の紅麹のサプリメント(いわゆる健康食品)が腎不全を起こす可能性があるということで問題となっています。また以前より皆様からいろいろなサプリメントの有効性などの質問を受けて関心の高さを感じてきました。

そもそもサプリメントは科学的に有効性が証明できず食品として流通しているものが大部分です。また一日どれだけ摂取するのかなど深い検証がなされてはいません。食品の扱いですから医薬品と異なり厳格な管理は行われていません。

今回の紅麹サプリメントは脂質の高い人が飲むように売り出されています。紅麹カビから抽出されたモナコリンKはその後製剤化されロスバスタチンという医薬品として使用されています。紅麴は効能について全く根拠のないサプリメントではないと言えます。しかし小林製薬の定めた紅麹サプリメントの1日摂取錠数で摂ることのできる有効成分は医薬品のロスバスタチンの5分の1から10分の1ですから脂質を低下させる効果があるのか疑問です。本気で脂質(コレステロール等)を下げたければ、効果や安全性を細かく検証してある医薬品を利用する方が安全です。また同じ効能の医薬品と併用してもなんの効果も得られないのが普通です。サプリメントや漢方薬は副作用がなく安全だと思い込んでいる方がいらっしゃいますが、製剤の含有成分にばらつきがあるうえ今回のように思わぬ成分が混入する可能性があり、決して安全ではありません。

さらに、紅麹サプリメントを生産していた小林製薬はある程度社会的認知度のある会社なので補償に応ずる可能性がありますが、ほとんどのサプリメントの会社は名もない小さな会社が多く、健康被害への対応力に不安があります。医薬品では薬害などを生じた場合公的救済制度がありますが健康食品ではこれがなく、被害者は製造者や販売者と直接交渉しなければなりません。

これまでもサプリメントについてのご質問をいただくと、効果や副作用についてはメーカーからの情報がないので分かりませんとお答えしてきました。本当に効果のあるサプリメントはこれまでにも医薬品として採用され、商品化されてきています。今あるサプリメントの中から効果のあるものを見つけ出すのはとても難しいと思ってください。

重ねて既に高血圧や糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症など)などで治療薬を内服中の方はサプリメントを健康被害防止の観点からも重ねて内服することは控えるべきと考えます。                 鈩裕和